平屋は地震に強い?福岡で安心して暮らせる耐震性能と災害対策
「平屋は地震に強い」とよく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか。福岡で平屋の注文住宅を検討されている方にとって、地震への備えは重要なことでしょう。
この記事では、平屋の耐震性能の実態と、福岡・九州エリアで想定される災害リスク、そして本当に地震に強い平屋を建てるための具体的な対策について解説します。
1. 平屋は本当に地震に強いのか?構造的な特徴を解説
平屋が地震に強いとされる理由
平屋が地震に強いとされる理由は、主に構造上の特性にあります。まず、平屋は2階建てや3階建てと比較して重心が低い位置にあります。
建物の重心が低いほど、地震の揺れによる影響を受けにくくなります。高層ビルで地震を体験すると上階ほど大きく揺れるのと同じ原理で、建物が高くなるほど揺れは増幅されていきます。2階建ての場合、1階と2階の壁の位置がずれていたり、2階部分の重量が1階の柱や梁に負担をかけたりすることがありますが、平屋ではそうした問題が発生しにくいのです。
実際に、2016年の熊本地震では、耐震等級3を満たした平屋の多くが倒壊を免れ、無被害もしくは軽微な被害で済んだことが国土交通省の調査で明らかになっています。(※1)
※1 報告書(概要版): 「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント
ただし条件次第で耐震性は変わる
ただし、「平屋だから必ず地震に強い」というわけではありません。平屋の耐震性は、いくつかの条件によって大きく変わります。
第一に、地盤の強さです。どれほど頑丈な建物を建てても、地盤が弱ければ地震の揺れが建物全体に伝わりやすくなります。軟弱な地盤の上に建てられた平屋は、地震時に想定以上の揺れを受けるリスクがあります。
第二に、設計のバランスです。中庭を囲むコの字型やL字型の平屋、大きな吹き抜けを設けた平屋など、デザイン性を重視した間取りの場合、壁や柱の配置バランスが崩れて耐震性が低下する可能性があります。設計時に耐震構造についてよく検討する必要があります。
第三に、構造や工法の選択です。木造軸組工法、ツーバイフォー工法、鉄骨造など、採用する工法によって耐震性能は異なります。また、耐震だけでなく制震や免震といった地震対策技術を組み合わせることで、より高い安全性を確保できます。
2. 福岡・九州で想定される災害リスクとは

地震リスク
福岡は比較的地震が少ない地域と思われがちですが、決して安心できるわけではありません。
2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震(マグニチュード7.0、最大震度6弱)は、福岡市内に大きな被害をもたらしました。この地震では、玄界島で多くの建物が倒壊したほか、福岡市中心部でも建物の外壁落下や道路の損傷が発生しました。
この地震の原因となった警固断層は、福岡市中心部を南北に走っており、南東部には警固断層帯南東部が存在します。この断層帯が動いた場合、マグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性があると指摘されています。(※2)
さらに、九州エリアでは南海トラフ地震や日向灘での地震も懸念されています。南海トラフ地震は、今後30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測されており、福岡でも震度5強から6弱程度の揺れが想定されています。(※2)
※2 気象庁ウェブサイト「警固断層帯」https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/assumption_t.html
台風・水害リスク
地震だけでなく、福岡・九州エリアは台風や豪雨による水害リスクも高い地域です。九州は地理的に台風の通り道にあたり、毎年のように台風による被害が発生しています。強風による屋根材の飛散や窓ガラスの破損、倒木による建物の損壊などが起こり得ます。
家を建てる前には、必ず各自治体が公表しているハザードマップで、建設予定地の災害リスクを確認しましょう。
3. 耐震等級とは?等級別の違いと必要性

耐震等級1・2・3の違い
住宅の耐震性能を示す指標として、「耐震等級」があります。耐震等級は1から3まであり、数字が大きいほど地震に対する強さが高いことを意味します。
耐震等級1は、建築基準法で定められた最低限の基準です。数百年に一度発生する震度6強から震度7程度の地震に対して、倒壊・崩壊しない程度の耐震性を持つレベルとされています。ただし、建物が大きく損傷する可能性はあり、地震後に修繕が必要になることもあります。
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の強度を持つ水準です。学校や避難所など、災害時に多くの人が利用する施設に求められる耐震性能に相当します。耐震等級1よりも構造の強度が高く、地震後も建物を使い続けられる可能性が高まります。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の強度を持ち、現在の住宅性能表示制度における最高等級です。消防署や警察署といった防災拠点となる建物に求められる水準で、極めて稀に起こる大地震に対しても、建物の損傷を最小限に抑えられる設計となっています。
熊本地震が示した耐震等級3の重要性
2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2回発生するという観測史上例のない事態となりました。
この地震で、耐震等級の違いが建物の被害状況に明確な差をもたらしたことが、国土交通省の調査で明らかになっています。(※3)耐震等級3を満たした住宅の多くは、無被害もしくは軽微な被害で済み、地震後も住み続けることができました。
一方、旧耐震基準(1981年以前)の建物や、新耐震基準であっても耐震等級1程度の建物では、倒壊や大規模な損壊が多く見られました。特に注目すべきは、繰り返しの揺れや余震に対する強さです。
4. 耐震・制震・免震の違いとは?

耐震:建物を強固にして揺れに耐える
耐震は、建物の構造そのものを強化して地震の揺れに耐える技術です。壁や柱、梁、基礎といった構造体を頑丈にすることで、地震のエネルギーに抵抗します。
一方で、建物自体が地震の揺れを直接受けるため、揺れを完全に抑えることはできません。大地震の際には室内で家具が転倒したり、建物にダメージが蓄積したりする可能性があります。
制震:揺れを吸収して建物へのダメージを軽減
制震は、建物内に設置したダンパーなどの装置が地震の揺れを吸収し、建物へのダメージを軽減する技術です。
制震構造の最大のメリットは、繰り返しの地震や余震に対して効果を発揮する点です。地震のエネルギーをダンパーが吸収するため、建物の構造体へのダメージが少なく、余震が続いても建物の安全性が保たれます。
建築費用は耐震構造に比べてやや高くなりますが、免震構造ほどではありません。
長期的に見れば、建物の寿命を延ばし、地震後の修繕費用を抑えられるメリットがあります。
免震:建物と地面を切り離して揺れを伝えない
免震は、建物と地盤の間に特殊な免震装置を設置し、地震の揺れを建物に伝えない技術です。建物が地面から切り離されているため、地震時でも建物の揺れを大幅に軽減できます。
免震構造は、3つの技術の中で最も高い効果を発揮しますが、建築費用が大幅に高くなるのがデメリットです。
また、定期的なメンテナンスが必要で、維持費もかかります。そのため、一般的な平屋の注文住宅では採用例が少なく、主に高層ビルや重要施設で使われています。
最も効果的なのは「耐震+制震」の組み合わせ
平屋の注文住宅において、最もバランスが良いのは「耐震+制震」の組み合わせです。
耐震等級3の頑丈な構造に制震装置を組み合わせることで、建物の強度と揺れの軽減効果の両方を得られます。
建築費用も免震ほど高額にならず、メンテナンスの手間も最小限で済みます。プラスリッコでは、この「耐震等級3+制震装置」の組み合わせを標準仕様として採用しています。
5. プラスリッコが採用する制震装置「ミライエ」

ミライエとは?
プラスリッコが採用している制震装置は、住友ゴム工業株式会社が開発した「MIRAIE(ミライエ)」です。
ミライエは、住友ゴムが長年培ってきたゴム技術を応用して開発された高減衰ゴムダンパーで、地震の揺れを効率よく吸収します。一般的な制震装置と比較しても優れた性能を持ち、地震の揺れを最大95%低減することが実証されています。
また、ミライエの大きな特長は、メンテナンスフリーで90年以上の耐久性を持つ点です。
通常、制震装置は定期的な点検や交換が必要になることがありますが、ミライエは特別なメンテナンスを必要としません。これにより、長期的な維持費を抑えながら、安心して暮らし続けることができます。
ミライエの効果を実感できるポイント
ミライエを設置した住宅では、具体的にどのような効果を実感できるのでしょうか。
まず、繰り返しの地震に強いという点です。本震だけでなく、その後に続く余震に対してもダンパーが機能し続けるため、建物の損傷が蓄積しにくくなります。熊本地震のように何度も大きな揺れが発生する場合でも、建物を守り続けることができます。
次に、室内の家具転倒リスクの大幅な軽減です。地震の揺れ幅が小さくなることで、タンスや食器棚、テレビなどの家具が倒れにくくなります。これは、地震発生時に室内にいる家族の安全を守る上で非常に重要なポイントです。
さらに、住み心地の向上も期待できます。地震だけでなく、台風などの強風による建物の揺れも軽減されるため、普段の生活でも安心感が増します。
プラスリッコでは標準仕様で採用
多くの住宅会社では、制震装置はオプション扱いとなり、追加費用が必要になります。しかしプラスリッコでは、すべてのお客様に安心して暮らしていただきたいという想いから、追加費用なしでミライエを標準装備としています。
耐震等級3の頑丈な構造にミライエを組み合わせることで、最高レベルの地震対策を実現しています。福岡で地震に強い平屋をお考えの方にとって、この標準仕様は大きな安心材料となるはずです。
6. 地震に強い平屋を建てるために押さえるべきポイント

地盤の強さを確認する
平屋の耐震性を確保する上で、地盤の強さは極めて重要です。
2000年の建築基準法改正により、新築住宅を建てる際には地盤調査が義務付けられました。地盤調査では、土地の支持力や沈下の可能性などを調べ、建物を安全に支えられるかどうかを判断します。福岡市内でも、地盤の強さは場所によって大きく異なります。博多湾沿いの埋立地や河川の近くなど、軟弱な地盤のエリアも存在します。
地盤が弱い土地に平屋を建てる場合は、地盤改良工事が必要になります。地盤改良には、主に3つの工法があります。
①表層改良工法
表層改良工法は、地盤の表面部分の土とセメント系固化材を混ぜ合わせて地盤を強化する方法です。比較的浅い深度の軟弱地盤に適しており、工期が短く費用も抑えられます。
②柱状改良工法
柱状改良工法は、地中に固化材を注入して柱状の改良体を造り、建物を支える方法です。中程度の深さの軟弱地盤に適しており、一般的な住宅でよく用いられる工法です。
③鋼管杭工法
鋼管杭工法は、地中深くまで鋼製の杭を打ち込んで建物を支える方法です。深い位置に強固な地層がある場合に用いられ、3つの工法の中で最も高い支持力が得られますが、費用も高額になります。
バランスの良い設計
平屋の間取りを考える際、耐震性能とデザイン性を両立させるためには、バランスの良い設計が不可欠です。
壁、柱、梁の配置バランスが耐震性を左右します。耐力壁(地震や風圧に抵抗するための壁)が建物全体にバランスよく配置されていることが重要です。一方向に偏った配置になると、地震の際に建物が捻れる「ねじれ現象」が発生し、倒壊のリスクが高まります。
建物の形状もポイントです。正方形や長方形といったシンプルな形状の平屋は、地震のエネルギーが均等に分散しやすく、構造的に有利です。
一方、L字型やコの字型の平屋は、建物の角部分に力が集中しやすいため、十分な補強が必要になります。
大開口の窓や吹き抜けを設ける場合も注意が必要です。これらは開放感のある魅力的な空間を生み出しますが、壁が少なくなることで耐震性が低下する可能性があります。デザイン性を保ちながら耐震性を確保するためには、構造計算に基づいた適切な補強が求められます。
建物の重量に配慮する
一方、ガルバリウム鋼板などの金属屋根は、1平方メートルあたり4〜6kg程度と非常に軽量です。重い屋根材は、地震時に建物の揺れを大きくする要因となります。ただし、屋根材の選択は耐震性だけでなく、耐久性、メンテナンス性、デザイン性、建築費用など、総合的に判断する必要があります。
また、太陽光パネルの設置を検討している場合、パネルの重量も考慮に入れましょう。太陽光パネルは1枚あたり約20kgの重さがあり、複数枚設置すれば相応の重量増加となります。屋根の耐荷重を確認し、必要に応じて構造の補強を行うことが大切です。
7. まとめ:福岡で地震に強い平屋を建てるなら
平屋は構造的に地震に有利な特性を持っています。重心が低く、シンプルな構造であることから、2階建てや3階建てと比較して揺れの影響を受けにくいのは事実です。
ただし、「平屋だから安心」と安易に考えるのは危険です。地盤の強さ、設計のバランス、そして採用する構造や工法によって、平屋の耐震性能は大きく変わります。
福岡・九州エリアでは、福岡県西方沖地震の経験や警固断層の存在、さらには南海トラフ地震のリスクなど、決して地震への備えを怠ることはできません。加えて、台風や豪雨といった自然災害のリスクも考慮する必要があります。本当に地震に強い平屋を建てるためには、耐震等級3の確保、制震装置の導入、そして地盤調査と必要に応じた改良工事が重要です。
プラスリッコでは、制震装置「ミライエ」を標準仕様として地震対策を提供しています。さらに、壁・柱・梁のバランスが取れた設計、建物の重量への配慮など、細部にわたる検討を重ねることで、デザイン性と安全性を両立した平屋が実現できます。
地震大国である日本で、何十年も安心して暮らせる平屋を建てるために、耐震性能を最優先に考えた家づくりをおすすめします。
プラスリッコでは、福岡市博多区のモデルハウス「アトリエ博多」で、実際にミライエを採用した平屋を体感いただけます。
ぜひ一度、足を運んでみてください。


