【タイプ別】真似したい平屋の間取り例4選と設計で注意すべき点
平屋は階段がなく生活動線がシンプルな一方で、限られたワンフロアにすべての機能を配置するため人気ですが、間取りの工夫が暮らしやすさを大きく左右します。お子さまの成長や将来のライフスタイルを見据えた設計が重要です。
この記事では、実際の建築事例をもとに4つのタイプ別間取り例をご紹介。さらに、平屋ならではの設計の注意点や、間取りを決める際のポイントも解説します。理想の平屋づくりのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
1. 平屋の間取りを決める前に知っておきたい基本
平屋のメリットと間取りの特徴
平屋の最大の魅力は、暮らしのすべてが一つの階に収まることです。階段の上り下りがないため、小さなお子さまや将来の暮らしを考えたときにも安心感があります。洗濯物を2階に運ぶ手間や、掃除機を持って階段を移動する負担もありません。
間取りの特徴としては、すべての部屋が横につながるという点が挙げられます。リビングからキッチン、寝室、子ども部屋まで、移動がスムーズで家事動線も短くなります。家族の気配を感じやすく、コミュニケーションが自然に生まれる環境です。
一方で、同じ床面積でも二階建てより土地面積が必要になるケースが多く、土地の広さや形状によっては採光や通風の確保に工夫が必要です。また、プライバシーの確保やゾーニング(空間の使い分け)も、設計段階でしっかり考えておくべきポイントになります。
間取り決めで重視すべき3つのポイント
平屋の間取りを決める際、特に意識したいのが次の3つです。
1. 家族の暮らし方を具体的にイメージする
朝起きてから夜寝るまで、家族がどう過ごすのかを思い描いてみてください。料理をしながら子どもの様子を見守りたい、洗濯動線を短くしたい、リモートワークスペースが欲しいなど、日常の行動パターンから逆算すると必要な間取りが見えてきます。
2. 光と風の通り道をつくる
平屋は横に広がる分、建物の中央部に光や風が届きにくくなることがあります。中庭や吹き抜け、窓の配置を工夫することで、すべての部屋に明るさと心地よい空気の流れを確保できます。
3. 将来の変化に対応できる柔軟性を持たせる
子どもが巣立った後、親と同居することになった場合など、ライフステージの変化に対応できる間取りかどうかも大切です。可動間仕切りや用途を変えられる部屋を用意しておくと、長く快適に暮らせます。
2. 【タイプ別】真似したい平屋の間取り例4選
【01】中庭を中心としたコの字型間取り|光と風を取り込む開放設計

建物をコの字型に配置し、中央に中庭(11.7畳)を設けた間取りで、3〜4人家族に適したサイズ感です。
21畳の広々としたLDKが中庭と斜め天井(勾配天井)でつながり、圧倒的な開放感を実現しています。5畳のウッドデッキを介して室内と屋外が一体化し、外からの視線を気にせず家族でくつろげます。
洋室は3部屋(洋室①:8畳、洋室②:5畳、洋室③:4.7畳)あり、子ども部屋や主寝室として使い分けられます。各部屋にはクローゼットが完備され、収納力も十分です。
玄関周りにはシューズクローク(SCL)があり、ベビーカーやアウトドア用品もすっきり収納できます。洗面・脱衣室から中庭・ウッドデッキへ続く動線も実用的で、家事がしやすい配置となっています。
中庭を設けることで、建物の中心部にも光が届き、風が抜けやすくなります。リビングからもウッドデッキ越しに緑が見え、四季の変化を感じながら暮らせる間取りです。中庭は子どもの遊び場としても、家族でバーベキューを楽しむ場としても活躍します。
【02】中庭と開放感のあるリビングを備えたコの字型2階建て|自然と家族が集まる設計

同じくコの字型の配置ですが、和室(4.5畳)と寝室(4.5畳)を設けることで、プライベート空間をしっかり確保しながらも解放感のある間取りです。
中庭は17.5畳とゆとりがあり、リビングや各部屋から眺められる癒しの空間になっています。外からの視線を気にせず、カーテンを開け放って過ごせる開放感が魅力です。
リビングは6.6帖の堀床となっていることも特徴的で、間取り以上のゆとりが感じられる空間設計となっています。3帖のヌックでは家事の合間にひと休みしたり、リモートワークスペースとして使ったりと、自分だけの時間を持てる場所になります。
LDKからパントリー、ランドリールームへとつながる動線が効率的で、家事の負担を減らせます。シューズクロークも完備し、玄関周りをすっきり保てる実用的な設計です。
夫婦それぞれのプライベート空間を確保しながら、家族が自然に集まる間取りを実現したい方に適した設計です。
【03】コの字の変形型間取り|無駄のない動線設計

間口約11.8m、奥行き約14.5mの敷地を活かした、コの字型をアレンジした間取りです。中庭を持たないシンプルな配置ながら、動線設計と採光に優れた実用的な設計が特徴です。
24.4帖のLDKには勾配天井を採用し、視線が上に抜けることで開放感を演出しています。天井の高低差が空間に変化を生み、実面積以上の広がりを感じられます。キッチンは対面式で、リビング・ダイニング全体を見渡せる配置です。
和室(6畳)はLDKに隣接し、引き戸で仕切ることができます。普段は開け放してリビングの延長として使い、来客時には独立した客間に。お子さまの遊び場や、昼寝のスペースとしても重宝します。
洋室は2部屋(洋室①:7.5畳、洋室②:6畳)で、主寝室と子ども部屋として使い分けられます。各部屋にはクローゼットが完備され、プライベート空間としての機能も十分です。
中庭がない分、建築費用を抑えられる点も大きな特徴です。その分、収納や設備にこだわったり、外構に予算を回したりと、柔軟な資金計画が可能になります。
南側に大きな窓を設けることで採光を確保し、対面に窓を配置することで風通しも良好。中庭がなくても、明るく風通しの良い快適な住環境を実現できます。
「中庭は魅力的だけど、メンテナンスや建築費用が気になる」「シンプルで使いやすい間取りが良い」という方に適した、実用性を重視した設計です。
【04】コの字型アレンジ間取り|中庭と勾配天井で開放感を演出

コの字型をアレンジした間取りで、中庭(11.7畳)を囲むように建物を配置しています。間口約14.5mの敷地に対応し、変形していない整形地でも実現できる設計です。
23.6畳のLDKには勾配天井を採用し、視線が上に抜けることで広がりを感じられます。ウッドデッキ(6.0畳)が中庭とリビングをつなぎ、室内外の一体感を高めています。
洋室は3部屋(洋室1:7.5畳、洋室2:3.2畳、洋室3:4.5畳)あり、廊下を介して配置されることで家族のプライバシーも確保されています。各部屋にはクローゼットがあり、収納にも困りません。
中庭を中心とした配置により、外からの視線を気にせず大きな窓を設けられる安心感が魅力です。カーテンを開け放して、中庭の緑を眺めながら暮らせる贅沢な空間です。勾配天井がもたらす縦の広がりと、中庭がもたらす横の広がりで、実面積以上の開放感を感じられます。
3. 平屋の間取りで失敗しないために注意すべき点
採光と通風の確保|すべての部屋に光と風を
平屋は建物の中央部分が暗くなりがちです。特に敷地の形状や周辺環境によっては、隣家との距離が近く、窓からの採光が難しい場合もあります。
解決策としては、中庭や吹き抜け、天窓の活用が効果的です。建物の中心に光と風を取り込む工夫をすることで、廊下や水回りも明るく快適な空間になります。また、窓の位置や大きさだけでなく、高窓(ハイサイドライト)を設けると、プライバシーを守りながら採光を確保できます。
今回紹介した4つの間取りは、4つの内3つが中庭を活用することで採光と通風を確保しています。コの字型やロの字型の配置は、外周だけでなく内側にも窓を設けられるため、すべての部屋に光と風が届きやすくなります。
風の通り道も意識しましょう。対角線上に窓を配置すると、風が効率よく抜けていきます。夏は自然の風で涼しく、冬は日差しを取り込んで暖かく過ごせる設計が理想です。
動線設計の工夫|回遊動線で家事効率アップ
平屋の間取りでは、家事動線の設計が暮らしやすさを大きく左右します。
洗濯機から物干し場、収納までの距離が短ければ、家事の負担は格段に減ります。キッチンからパントリー、ダイニング、洗面所へとスムーズに移動できる回遊動線を取り入れると、無駄な往復がなくなり時間の節約にもなります。
例えば、間取り例【02】では、キッチン→パントリー→WICL→ランドリールームとスムーズに家事できる動線が確保されています。
家事をしながら家族とコミュニケーションが取れる配置も、平屋ならではの魅力です。
プライバシーの確保|家族それぞれの居場所づくり
ワンフロアで家族の気配を感じやすい平屋だからこそ、プライバシーの確保も大切です。
寝室と子ども部屋の距離、リビングと寝室の位置関係など、音や気配が気にならない配置を考えましょう。特に思春期のお子さまがいる家庭や、リモートワークで集中したい時間がある場合は、適度な距離感が必要です。
間取り例【03】【04】では、寝室と子ども部屋を廊下で仕切ることで、音の伝わりを軽減しています。また、LDKと寝室エリアを明確に分けることで、就寝時間が異なる家族でもお互いに気を遣わずに過ごせます。
また、道路側に寝室やリビングを配置する場合は、外からの視線対策も重要です。植栽や塀、窓の位置を工夫することで、開放感を保ちながらプライバシーを守れます。中庭型やロの字型の間取りなら、外部からの視線を気にせず、大きな窓を設けられるメリットがあります。
将来を見据えた可変性|ライフステージの変化に対応
家族構成やライフスタイルは、時間とともに変化します。平屋の間取りを考える際は、10年後、20年後の暮らしも想像してみてください。
子どもが独立した後、夫婦二人の暮らしになったとき、広すぎる家は管理が大変になることもあります。逆に、親との同居が必要になる場合もあるでしょう。間取り例【04】のように、和室を独立させておけば、将来的に親世代の居室や介護スペースとして活用できます。
また、間取り例【02】のように、2階に予備室を設けておくことで、子どもの成長に合わせて部屋を増やすことも可能です。最初から完璧を目指すのではなく、変化に対応できる余白を残しておくことが、長く住み続けるコツです。
バリアフリー設計も視野に入れておくと安心です。段差をなくす、廊下幅を広めに取る、将来手すりを付けられる下地を入れておくなど、ちょっとした配慮が将来の暮らしやすさにつながります。平屋は元々バリアフリーと相性が良いため、設計段階で意識しておくと将来のリフォーム費用も抑えられます。
4. プラスリッコの平屋づくり|体感しながら理想を描く
常設モデルハウス「アトリエ博多」で暮らしを体感
福岡市博多区東雲町にある常設モデルハウス「アトリエ博多」は、平屋の魅力を存分に体感できる空間です。
1階は実際の平屋住宅として、中庭を中心とした間取りや、LDK一体型の開放的な空間、和室やシューズクロークなど、今回紹介した間取り要素が詰まっています。段差15cmの堀床リビングや、ウッドデッキ、中庭とのつながりなど、写真や図面だけでは伝わりにくい空間の心地よさを実際に感じられます。
2階は打ち合わせスペースとキッズスペースで構成され、内装・外装のサンプルが豊富に展示されています。実際の床材や壁材を見て触れながら、スイッチやコンセントの高さも比較できるため、具体的なイメージを持って家づくりを進められます。
オーダーメイド設計で叶える理想の間取り
プラスリッコの平屋「+RICCO」は、完全自由設計のオーダーメイド住宅です。家族の暮らし方やライフスタイルに合わせて、一から間取りを考えていきます。
「丈夫な家」「省エネの家」「自慢できる家」「ゆとりの家」「価値ある家」「保証する家」という6つの家づくりの柱を大切にしながら、機能性とデザイン性を両立させた住まいを提案しています。
性能面では、全熱交換型第一種換気や全館空調、樹脂サッシ・Low-eペアガラスなど、快適で省エネな暮らしを支える設備を標準仕様としています。また、初期保証20年の建物保証や、10年間の住宅設備保証など、長期にわたる安心もサポートしています(※1)。
間取りに迷ったときは、モデルハウスで実際の暮らしを体感し、専門スタッフと一緒に理想の平屋を描いていけます。
5. まとめ|平屋の間取りは暮らし方から逆算して考えよう
平屋の間取りづくりで最も大切なのは、「どんな暮らしがしたいか」を具体的にイメージすることです。それぞれに長所があり、家族構成や敷地条件によって最適な答えは変わります。
大切なのは、採光・通風・動線・プライバシー・将来の可変性といった基本を押さえながら、自分たちらしい暮らしを実現する間取りを選ぶことです。
平屋は、階段のない快適さと、家族が自然につながる心地よさが魅力です。だからこそ、間取りの工夫次第で暮らしの質が大きく変わります。
まずはモデルハウスで実際の空間を体感し、暮らしのイメージを膨らませてみてください。図面では分からない光の入り方や風の通り方、空間の広がりを感じることで、理想の平屋がより鮮明に描けるはずです。


